会員制Webサービス・会員サイトを作る前に決めるべきこと

会員だけが見られる情報を提供したい、取引先ごとに専用の画面を用意したい、定額制のサービスを始めたい――会員制のWebサービスにはさまざまな形があります。いずれの場合も、作り始める前に決めておかないと、後から大きな手戻りになることがいくつかあります。会員制サービスを作る前に整理しておきたい項目をまとめます。

最初に決めたい3つのこと

1. 会員の種類

会員は一種類か、複数の種類があるか。たとえば「無料会員と有料会員」「一般会員と法人会員」「利用者と提供者」など、種類によって見られる情報や使える機能が変わる場合は、その違いを整理します。種類が増えるほど、画面と権限の設計は複雑になります。

2. 登録の方法

誰でも自由に登録できるのか、審査や招待が必要なのか。メールアドレスで登録するのか、既存の取引先を運営側で登録して招待するのか。登録の方法は、会員の質と運営の手間の両方に影響します。

3. 会員だけが得られる価値

会員になると何ができるのか、何が見られるのかを明確にします。ここが曖昧だと、登録してもらえず、登録してもログインしてもらえない仕組みになってしまいます。

決済の方針は早めに決める

会員制サービスで設計と費用に大きく影響するのが、決済の有無と方法です。

決済の形考えておきたいこと
決済なし(無料)運営の収益の考え方、将来の有料化の可能性
都度払い購入履歴、返金・キャンセルの扱い
定額(サブスクリプション)更新・解約の手続き、支払い失敗時の扱い、会員資格の停止
請求書払い(法人向け)請求の作成と入金確認の運用、会員資格との連動

最初から定額課金の自動化を作り込むと、範囲が大きくなります。会員数が少ないうちは、外部の決済サービスや請求書払いで始め、運用が固まってから自動化する方法もあります。

会員情報を扱う責任

最初から考えておきたい安全面の項目

  • パスワードの安全な保存と、再設定の仕組み
  • 会員が他の会員の情報を見られないようにする権限の設計
  • 取得する個人情報の範囲と、プライバシーポリシーでの説明
  • 退会時の会員情報の扱い(削除するか、一定期間保存するか)
  • 運営側の管理画面にアクセスできる人の管理

会員制サービスは、小規模であっても個人情報を扱う仕組みです。基本的なセキュリティの確認項目は小規模な社内Webアプリのセキュリティでまとめています。利用規約やプライバシーポリシーの内容は、事業の形に合わせて、必要に応じて専門家に相談しながら整備してください。

最初の版で作る機能

最初の版で検討したい機能後から追加しやすい機能
会員登録・ログイン・パスワード再設定決済の自動化、定額課金
会員限定の情報・コンテンツの表示会員同士のコミュニティ機能
会員情報の確認・変更SNSアカウントでのログイン
管理画面(会員一覧、承認、お知らせ)利用状況の分析
お知らせのメール配信会員ランクやポイント

作る前のチェックリスト

  • 会員の種類と、それぞれが見られる情報・使える機能
  • 登録の方法(自由登録、審査、招待)
  • 会員だけが得られる価値
  • 決済の有無と方法
  • 取得する個人情報の範囲と、退会時の扱い
  • 運営側で行う作業(承認、問い合わせ対応、お知らせの配信)

既存の顧客に専用の画面を用意する場合は顧客向けマイページ・ポータルを作るには?、利用者同士をつなぐサービスの場合はマッチングサービスのMVPを作るには?もあわせてご覧ください。

会員が使い続けるための設計

会員制サービスは、登録してもらうことより、使い続けてもらうことのほうが難しいものです。設計の段階で、次のような点を考えておくと、会員がログインする理由を作りやすくなります。

ログインした直後に「やること」がある

ログインしても、どこを見ればよいか分からない画面では、会員は戻ってきません。新しいお知らせ、自分に関係する情報、次に必要な手続きなど、ログイン直後の画面に「今見るべきもの」をまとめておきます。

更新があったことを知らせる

会員限定の情報を更新しても、会員が気づかなければ見てもらえません。新しい情報を掲載したときに、メールなどで知らせる仕組みを用意しておくと、ログインのきっかけになります。配信の頻度が多すぎると逆効果になるため、知らせる内容は絞り込みます。

手続きを会員自身で完結できる

登録情報の変更、パスワードの再設定、退会など、会員が自分でできる手続きは画面から完結できるようにしておきます。毎回運営に連絡が必要だと、会員にとっても運営にとっても負担になります。

運営側の作業も見込んでおく

会員制サービスは、公開した後の運営作業が続きます。システムで自動化する範囲と、運営が手作業で行う範囲を、最初に整理しておきましょう。

運営の作業最初は手作業でもよいか
登録申請の承認件数が少ないうちは、管理画面で一件ずつ確認する運用で回る
会員限定の情報の掲載掲載の頻度に応じて、管理画面から更新できるようにしておく
問い合わせ対応最初はメールで受け、件数が増えたら管理の仕組みを検討する
入金の確認請求書払いの場合は、会員資格と入金の状況を照らし合わせる運用が必要

運営の手作業が負担になってきたものから順に、自動化の対象にしていくと、本当に必要な機能に費用をかけられます。

会員制サービスの相談前に

会員の種類と人数の見込み、会員に提供したい情報や機能、登録の方法、決済の有無と方法、運営の体制が分かれば、最初の版の範囲を判断しやすくなります。

会員ごとに見られる範囲を分ける権限の考え方は、社内ツールの権限設計で詳しく解説しています。

会員に届けたい価値から設計します

会員の種類、登録の方法、決済の有無――決めることは多くありますが、出発点は「会員に何を提供したいか」です。Tailboneでは、会員ページや資料・進捗の共有など、お客様との接点をWeb上に整える仕組みを開発しています。最初の版の範囲と、安全面で外せない部分を一緒に整理します。

よくあるご質問

既製の会員サイト作成サービスと、独自開発のどちらがよいですか?

会員向けにコンテンツを公開する、定額で課金する、といった一般的な形であれば、既製のサービスで十分なこともあります。会員の種類や権限が複雑、自社の業務データと会員情報を連動させたい、会員ごとに異なる情報を見せたい、といった場合は独自開発が候補になります。

会員登録に審査を入れることはできますか?

できます。登録の申請を受け付け、管理画面で内容を確認して承認した人だけが会員として利用できる、といった流れを作れます。審査の基準や、否認した場合の連絡方法もあわせて決めておきます。

パスワードを忘れた会員への対応はどうなりますか?

登録されたメールアドレスに再設定用のリンクを送る仕組みを用意するのが一般的です。運営側がパスワードを確認・再発行する運用は、安全面から避けるのが望ましいとされています。

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