顧客向けマイページ・ポータルを作るには?資料や進捗の共有をWeb化する方法

見積書、契約書、納品物、作業の進捗報告――顧客とのやり取りをメールとファイルの送付で行っていると、「最新版はどれか」「前回の報告はいつだったか」を探す時間が、社内でも顧客側でも積み重なっていきます。こうした情報を顧客ごとの画面にまとめるのが、顧客向けのマイページ・ポータルです。作る前に考えておきたいことを、顧客側・社内側の両面から見ていきます。

顧客ポータルで解決できること

今の状態ポータルにした場合
資料をメールに添付して送り、版が分からなくなる最新の資料が顧客ごとの画面にまとまっている
進捗を問い合わせのたびに個別に回答する顧客がいつでも現在の状況を確認できる
担当者が変わると、過去のやり取りが追えないやり取りの履歴が顧客ごとに残る
顧客に提出してもらう書類の回収状況が分からない提出の有無が一覧で分かる

社内の手間が減るだけでなく、顧客にとっても「必要な情報をいつでも確認できる」という利点があります。この顧客側の利点が明確であることが、ポータルを使ってもらうための前提になります。

最初の版で考えたい機能

  • ログイン:顧客ごとのアカウントで、自社の情報だけを見られる
  • 案件・契約の一覧:進行中の案件や契約の状況を確認できる
  • 資料の共有:見積書、契約書、報告書などをダウンロードできる
  • 進捗の表示:現在のステータスや次の予定が分かる
  • お知らせ:社内から顧客への連絡を掲載できる

顧客からのファイルの提出、メッセージのやり取り、請求・支払いの確認などは、運用を始めてから必要性を判断できる機能です。範囲を広げるほど、顧客に覚えてもらう操作も増えることを意識しておきましょう。

最も重要なのは権限の設計

顧客ポータルで最も慎重に設計すべきなのが、誰が何を見られるかという権限です。ある顧客の情報が、別の顧客に見えてしまうことは、信頼に直結する重大な問題です。

権限について決めておきたいこと

  • 顧客企業ごとに、見られる情報を確実に分けること
  • 同じ顧客企業の中で、担当者ごとに見られる範囲を分ける必要があるか
  • 社内の担当者は、担当する顧客の情報だけを見られるようにするか
  • 退職や担当変更があったときに、アカウントをどう止めるか

権限の考え方は社内ツールの権限設計で詳しく解説しています。また、顧客の情報を扱う以上、ログインやパスワードの管理、通信の暗号化などの基本的なセキュリティ対策も欠かせません。確認すべき項目は小規模な社内Webアプリのセキュリティにまとめています。

顧客に使ってもらうための工夫

ポータルを作っても、顧客が使わなければ、結局はメールでのやり取りに戻ってしまいます。

  • 使い始めを簡単にする:社内でアカウントを作り、招待メールから初回設定できるようにする
  • ログインする理由を作る:最新の資料や進捗はポータルで共有する、と運用を決める
  • 通知と組み合わせる:新しい資料やお知らせがあれば、メールで知らせてポータルへ案内する
  • スマートフォンでも見やすくする:外出先で進捗を確認したい顧客もいる

導入の進め方

  1. 共有している情報を棚卸しする:今メールで送っている資料や連絡の種類を書き出す
  2. ポータルに載せる範囲を決める:顧客にとって確認する価値が高いものから選ぶ
  3. 権限を設計する:顧客ごと、担当者ごとの見える範囲を決める
  4. 一部の顧客で試す:協力的な顧客に先に使ってもらい、使いにくい点を直す
  5. 全体に案内する:使い方の案内と、問い合わせ先を用意する

顧客情報そのものの管理を見直す場合は、顧客管理をExcelからWebアプリに移行するタイミングと進め方もあわせてご覧ください。会員向けのサービスとして提供する場合は、会員制Webサービス・会員サイトを作る前に決めるべきことが参考になります。

社内側の運用も設計する

顧客ポータルは、顧客が見る画面だけでなく、社内の担当者が情報を載せる運用があって成り立ちます。社内側の運用が回らないと、ポータルの情報が古くなり、顧客の信頼を損ねることにもなりかねません。

社内の作業決めておきたいこと
資料の掲載誰が、いつ掲載するか。古い版の扱い
進捗の更新どのタイミングでステータスを変えるか、更新する人
お知らせ誰に向けて、どんな内容を、どの頻度で載せるか
顧客アカウントの管理新しい顧客の招待、担当者の追加・削除の手順

社内の担当者にとって、ポータルへの掲載が追加の手間にならないよう、既存の業務の流れの中で自然に更新される仕組みにすることが理想です。たとえば、社内の案件管理でステータスを変えると、顧客の画面にも反映される、といった形です。

顧客ポータルの相談前に整理したいこと

  • 今、顧客とどのような資料や連絡をやり取りしているか
  • 顧客から問い合わせが多い内容(進捗、資料の再送など)
  • 顧客の企業の中で、誰が使うか(担当者一人か、複数か)
  • 社内のどの仕組み(顧客管理、案件管理など)とつなげたいか

小さく始める進め方

顧客ポータルも、最初からすべての顧客に向けて多くの機能を用意する必要はありません。まずは進捗と資料の共有に絞り、協力的な一部の顧客に使ってもらうところから始めると、顧客にとって本当に役立つ情報が何かが見えてきます。顧客からの要望が集まってから、提出物の受け取りやメッセージのやり取りなど、機能を広げていく進め方がおすすめです。社内の運用が回ることを確認してから対象の顧客を広げれば、情報の更新が滞るリスクも小さくできます。

社内の案件管理と顧客ポータルをつなげる考え方は、案件管理システムを小さく作るには?もあわせてご覧ください。

共有したい情報の棚卸しから始められます

顧客にメールで送っている資料、よく聞かれる質問、提出をお願いしている書類。今のやり取りを書き出していただければ、ポータルで共有する範囲と、顧客ごとの見せ方が見えてきます。Tailboneでは、顧客管理や会員ページ・進捗共有などの仕組みを、社内側の運用も含めて一緒に設計します。

よくあるご質問

顧客にアカウントを作ってもらうのは負担になりませんか?

負担を減らす工夫は可能です。社内側でアカウントを作成して招待メールを送る、初回はメールのリンクからパスワードを設定してもらう、といった方法があります。使い始めの手順をできるだけ短くすることが、利用してもらうための鍵になります。

顧客ごとに見せる情報を変えられますか?

できます。顧客ポータルでは、ログインした顧客に紐づく情報だけを表示するのが基本です。さらに、同じ顧客企業の中でも担当者ごとに見られる範囲を分けたい場合は、その権限の設計も必要になります。

既存の顧客管理の仕組みとつなげられますか?

顧客情報をどこで管理しているかによります。社内の顧客管理と同じ仕組みの中にポータルを作る方法や、既存の仕組みからデータを連携する方法があります。今の管理方法を伺ったうえで検討します。

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