Excel・紙からの移行
紙・電話・FAXの受付業務をWebアプリ化するには?受注・申込のデジタル化手順
注文はFAX、問い合わせは電話、申込は紙の用紙を郵送で――取引先やお客様の事情で、こうしたアナログな受付を続けている会社もあるでしょう。社内ではそれをExcelや紙の台帳に書き写し、担当者に回しています。こうした受付業務をデジタル化するとき、相手の使い方をいきなり変えずに進める方法を整理します。
アナログな受付業務で起きていること
- 受けた内容をExcelや台帳に転記する手間がかかり、転記ミスも起きる
- FAXや用紙が担当者の机に置かれたまま、対応状況が共有されない
- 電話で受けた内容のメモが残らず、言った・言わないの確認ができない
- 受付の窓口ごとに管理がばらばらで、全体の件数や状況が分からない
- 過去の注文や申込を探すのに時間がかかる
問題の中心は、窓口がアナログであることそのものより、受けた内容が1か所に集まっていないことにあります。ここから手をつけると、相手の使い方を変えなくても、社内の業務は大きく変わります。
段階的に進めるデジタル化の手順
ステップ1:すべての受付を一つの管理画面に集める
最初の一歩は、電話、FAX、紙、メールで受けた内容を、社内の担当者が一つの管理画面に登録する仕組みを作ることです。窓口はそのままでも、受付の一覧、担当者、対応状況が一か所で分かるようになります。
ステップ2:Webの受付フォームを「選べる窓口」として追加する
次に、Webから注文や申込ができるフォームを用意します。このとき、電話やFAXをやめる必要はありません。Webからの受付は自動で管理画面に登録されるため、Webを選んでくれる相手が増えるほど、転記の手間が減っていきます。
ステップ3:受付後の業務をつなげる
受付の一元管理が回り始めたら、担当者への割り当て、確認の連絡、在庫や出荷、請求など、受付後の業務とのつながりを順に作っていきます。
段階的に進めた場合の受付の流れ
- 電話・FAX・紙・Webで受付(窓口はそのまま)
- すべての受付を管理画面に登録(Webは自動)
- 担当者を割り当て、ステータスで管理
- 確認の連絡、処理、完了の記録
取引先・お客様への配慮
受付の方法を変えるとき、相手にとっての負担を考えることが大切です。
- 従来の窓口(電話・FAX・紙)は当面残し、Webは追加の選択肢として案内する
- Webの受付フォームは、紙の注文書と同じ順番・同じ言葉の項目にする
- スマートフォンからも入力しやすい画面にする
- 受付が完了したことを、メールなどで相手に知らせる
- よく利用する取引先には、個別に使い方を案内する
「Webのほうが早く確認の連絡が届く」「過去の注文から再注文できる」など、相手にとっての利点があると、Webへの切り替えは自然に進みます。
紙の帳票は要件整理の材料になる
今使っている注文書や申込書は、Webアプリの要件を考えるうえでの重要な資料です。帳票に並んでいる項目は、そのまま受付フォームと管理画面の項目の候補になります。
| 紙の帳票から読み取れること | Webアプリでの扱い |
|---|---|
| 記入してもらっている項目 | 受付フォームの入力項目 |
| 社内で書き込んでいる欄(受付印、担当者名など) | 管理画面の項目(担当者、ステータス、受付日時) |
| 手書きで補足されることが多い内容 | 備考欄や選択肢の追加を検討する |
| 帳票が回っていく順番 | ステータスと担当の流れ |
帳票の写真やスキャン(個人情報は伏せたもの)と、受付から処理までの流れのメモがあれば、相談は十分に始められます。業務の流れの書き方はシステム化の前に業務フローを整理する方法で紹介しています。
Googleフォームで始めるのは?
受付フォームだけであれば、Googleフォームなどの既製のツールで手軽に始めることもできます。ただし、受付後の対応状況の管理、電話やFAXの受付との一元化、担当者への割り当てといった部分は、フォームだけでは補いきれないことがあります。詳しくはGoogleフォームの申込管理に限界を感じたらをご覧ください。
社内の運用で決めておきたいこと
受付の一元管理を始めるときは、システムの機能だけでなく、社内の運用のルールも決めておく必要があります。
- 電話やFAXで受けた内容を、誰が、いつまでに管理画面に登録するか
- 受付後の担当者を、誰がどのように決めるか
- ステータスの意味(受付済み、確認中、手配済み、完了など)
- 紙の注文書やFAXの原本を、登録後にどう保管するか
- Webからの受付があったときに、誰が最初に確認するか
特に最初の点は重要です。登録が後回しになると、管理画面の情報が実際の受付状況と合わなくなり、結局は紙を確認することになります。受けたその場で登録できるよう、入力の項目は電話で聞く順番、注文書に書かれている順番に合わせておくのがおすすめです。
取引先へのWeb受付の案内の仕方
Webでの受付を始めたら、取引先やお客様への案内も工夫が必要です。
- 利点を具体的に伝える:受付完了の連絡がすぐに届く、過去の注文を確認できる、など相手にとっての利点
- 使い方を短く案内する:画面の流れが分かる簡単な案内を用意する
- 無理に切り替えを求めない:従来の方法も引き続き使えることを伝える
- よく使う相手から声をかける:注文の多い取引先に個別に案内すると、効果が大きい
Webでの受付が増えるほど、社内の登録作業は減っていきます。焦らず、相手の都合に合わせて少しずつ広げていくのが現実的です。
効果を確かめる
一元管理を始めたら、転記にかかっていた時間や、対応漏れの件数がどう変わったかを記録しておくと、次の段階の判断材料になります。
受付のあとの予約や日程の管理まで仕組みにしたい場合は、予約システムは既製サービスと独自開発のどちらを選ぶ?も参考になります。
窓口を変えずに始める方法を一緒に考えます
取引先にFAXや電話をやめてもらう必要はありません。まずは受けた内容を一つの管理画面に集めるところから始めれば、相手の使い方を変えずに社内の業務を整えられます。今の帳票と受付の流れを伺い、最初に一元化する範囲を一緒に決めます。
よくあるご質問
取引先にFAXをやめてもらうのは難しいのですが、それでもWebアプリ化できますか?
できます。FAXで受けた注文を社内でWebアプリに登録する運用から始めれば、取引先の使い方を変えずに、社内の管理を一元化できます。Webからの注文は、希望する取引先から少しずつ切り替えていく方法が現実的です。
FAXの内容を自動で読み取って登録できますか?
文字の読み取り(OCR)を組み込む方法もありますが、手書きの文字や帳票の形式によって精度が変わり、確認の手間が残ることもあります。最初は手入力で運用を固め、件数や負担に応じて読み取りの導入を検討するのがおすすめです。
電話の受付はどうデジタル化すればよいですか?
電話そのものは残し、受けた内容を電話口で管理画面に入力する形が一般的です。入力項目を電話で聞く順番に並べておくと、聞き漏れを防ぎながら記録できます。