発注・外注の進め方
小規模な業務システム開発はどこに依頼すべき?制作会社・フリーランス・開発会社の違い
「Excelで管理している業務を小さなWebシステムにしたい」「社内ツールを作りたい」。いざ外注しようとすると、ホームページ制作会社、フリーランスのエンジニア、受託開発会社、大手のシステム会社(SIer)と選択肢が多く、どこに声をかければよいか迷うものです。依頼先ごとの得意・不得意と、自社の状況に合う選び方を比べてみます。
まず、作りたいものの規模と性質を確認する
依頼先を選ぶ前に、作りたいものが次のどれに近いかを確認しておくと、比較がしやすくなります。
- 情報発信が中心のWebサイト:会社案内、サービス紹介、採用ページなど。主な目的は「見てもらうこと」
- 小規模な業務用Webアプリ・社内ツール:顧客管理、案件管理、予約管理など。データを登録・検索・更新して業務を回すもの
- 大規模な基幹システム:多数の部署や拠点にまたがる会計・生産・販売管理など。既存システムとの連携や長期の運用体制が必要なもの
この記事で主に扱うのは、2つ目の「小規模な業務用Webアプリ・社内ツール」です。ホームページとは求められる技術が異なり、大規模な基幹システムほどの体制は必要ない、という中間の領域にあたります。なお、ホームページに問い合わせ・予約・申込の受付と、その管理画面を付けたい場合も、受付の後の仕組みは2つ目に近い考え方になります(問い合わせ・予約・申込ができるホームページを作るには?)。
依頼先ごとの特徴と注意点
ホームページ制作会社
デザインやWebサイトの構築を得意とする会社です。見た目の美しさや情報の伝わりやすさ、集客の観点からのサイト設計に強みがあります。
一方で、業務システムに必要なデータベースの設計、権限の管理、業務の流れに合わせた処理などは、ホームページ制作とは別の技術領域です。システム開発の体制を持つ制作会社もあるため、業務システムやWebアプリの開発経験があるかどうかを具体的に確認することが大切です。
フリーランスのエンジニア
個人で開発を請け負うエンジニアです。経験やスキルは人によって幅がありますが、得意分野が合えば、柔軟でスピードのある対応が期待できます。費用面でも、組織の管理コストがかからない分、調整しやすい場合があります。
注意したいのは、1人で対応する体制ゆえのリスクです。体調や他の案件の状況によって対応が止まる可能性があるほか、要件の整理やデザイン、テストなど、開発以外の部分をどこまで任せられるかも人によって異なります。公開後の保守や、他の人への引き継ぎについても事前に話し合っておきましょう。
受託開発会社(中小規模)
Webアプリや業務システムの開発を専門とする会社です。要件の整理から設計、開発、テスト、公開後の保守まで、一通りの工程に対応できる体制を持っていることが多く、小規模な業務システムでは有力な選択肢になります。
ただし、会社によって得意な規模や業種、技術は異なります。大きな案件を中心に扱う会社では、小規模な案件の優先度が下がる場合もあります。自社の規模感に近い案件の実績や、小さく始めて改善する進め方に対応しているかを確認するとよいでしょう。
大手システム会社(SIer)
大規模なシステム開発を、組織的な体制で進める会社です。品質管理やプロジェクト管理の仕組みが整っており、多数の部署や既存システムが関わる基幹システムの構築に強みがあります。
その分、小規模な業務システムを依頼する場合は、要件定義や管理工程の比重が大きくなり、費用と期間が想定より大きくなることがあります。そもそも小規模な案件は対象外としている場合もあります。
クラウドソーシング
仲介サービスを通じて、フリーランスや小規模な会社に依頼する方法です。多くの候補者から選べる点が利点ですが、相手のスキルや実績を見極める責任は発注者側にあります。要件を明確にして依頼できる場合には有効な選択肢ですが、要件の整理から相談したい場合には向かないこともあります。
依頼先の比較表
| 依頼先 | 得意なこと | 小規模な業務システムで注意したい点 |
|---|---|---|
| ホームページ制作会社 | デザイン、情報発信、集客を意識したサイト設計 | 業務システムの開発経験があるかを確認する |
| フリーランス | 柔軟でスピードのある対応、得意分野が合えば高い専門性 | 1人体制のリスク、保守と引き継ぎの体制 |
| 受託開発会社(中小規模) | 要件整理から開発・保守までの一貫対応 | 得意な規模・業種が自社に合うか |
| 大手SIer | 大規模・複雑なシステム、組織的な品質管理 | 小規模案件では費用・期間が大きくなりやすい |
| クラウドソーシング | 候補者の幅が広い | スキルの見極めと要件の明確化は発注者側の責任 |
状況別:どの依頼先が合いやすいか
要件がまだ整理できていない場合
「何を作るべきか」から相談したい場合は、要件の整理に対応してくれる受託開発会社が合いやすいでしょう。仕様書がなくても、今の業務や困っていることをもとに範囲を一緒に決めてくれるかを確認してください。
要件が明確で、範囲が小さい場合
作りたいものが具体的に決まっていて、範囲も小さい場合は、フリーランスやクラウドソーシングも選択肢になります。この場合も、公開後の保守を誰が担うかは決めておきましょう。
顧客や取引先が使う画面が含まれる場合
社外の人が使う画面があるなら、操作性やデザインの品質も重要になります。業務システムの開発とあわせて、画面設計にも対応できる依頼先を選ぶと安心です。
既存の基幹システムと深く連携する場合
多数の既存システムと連携が必要で、関わる部署も多い場合は、大手SIerや、該当システムの扱いに慣れた会社に依頼するほうが適していることがあります。
依頼先を見極めるための質問
相談や見積もりの段階で、次のような質問をしてみると、依頼先の進め方や考え方が見えてきます。
- 自社と近い規模の業務システムやWebアプリを開発した経験はありますか?
- 仕様書がない状態から、要件の整理を一緒に進めてもらえますか?
- 見積もりには、どの画面・機能が含まれていますか?含まれていないものは何ですか?
- 初回納品後の修正は、どの範囲まで対応してもらえますか?
- 仕様の追加・変更が出た場合、どのように進めますか?
- ソースコード、サーバー、各種アカウントの管理者は誰になりますか?
- 公開後の保守は依頼できますか?その範囲と費用の考え方は?
答えの内容だけでなく、専門用語に頼らず分かりやすく説明してくれるかどうかも、長く付き合える依頼先かを判断する材料になります。発注前に社内で整理しておくべきことは、社内ツール開発を外注する前に決めておくべき7つのことで解説しています。
開発実績はどう見ればよいか
依頼先を選ぶ際、多くの方が開発実績を確認します。ただ、業務システムの実績は、Webサイトの制作実績ほど分かりやすく公開されていないことが多くあります。実績を見るときは、次の点を意識すると判断しやすくなります。
公開されていない実績があるのは自然なこと
社内で使う業務システムは、クライアントとの守秘義務によって公開できないことが多くあります。公開実績が少ないからといって、経験が少ないとは限りません。相談の際に、「公開できる範囲で、近い業務や規模の開発経験はあるか」を質問してみるとよいでしょう。
見た目より「どんな業務を扱ったか」
業務システムの実績では、画面のデザインよりも、どのような業務の流れを、どのような機能で解決したかが重要です。顧客管理、予約、在庫、請求など、自社の業務に近い領域の経験があるかを確認してください。
自社で運用しているサービスがあるか
開発会社の中には、受託開発だけでなく、自社でWebサービスを企画・運用しているところもあります。運用まで経験している会社は、公開後の改善や、使われ続けるための工夫についても具体的な提案ができることがあります。
実際に動くものを見せてもらえるか
可能であれば、公開されているサービスや、デモ用の画面を見せてもらうと、操作性や品質の感覚がつかめます。説明資料だけで判断するよりも、具体的なイメージを持ちやすくなります。
見積もりを比較するときの注意点
複数の依頼先から見積もりを取った場合、金額だけで比べると判断を誤りやすくなります。同じ「顧客管理システム」でも、含まれる画面や機能、修正対応の範囲、保守の有無によって、金額の意味がまったく異なるためです。
比較しやすくするには、すべての依頼先に同じ要件メモを渡して見積もりを依頼するのが効果的です。要件メモのまとめ方は要件メモの書き方とテンプレートを、見積もりの内訳の読み方は業務用Webアプリ開発の費用はどう決まる?を参考にしてください。
Tailboneの立ち位置
Tailboneは、ホームページ制作会社とも、大手SIerとも異なる立ち位置で、業務用Webアプリ・社内ツール・小規模なWebシステム・MVPの開発に絞って対応している開発会社です。
- 仕様書がなくても、箇条書きのメモや今使っているExcelから相談できる
- 要件が明確な場合、シンプルな構成は最短7日以内、複数画面の構成は14日以内を目安に初回納品(要件確定後からの目安。規模や内容により変わります)
- 初回納品後は、事前に合意した範囲内で、実際に使える状態まで修正対応する
- 固定の料金表は設けず、必要な内容に合わせて個別に見積もる
一方で、多数の部署や拠点にまたがる大規模な基幹システムなど、別の進め方が適している案件もあります。トップページのTailboneと相性のよいプロジェクトもあわせてご覧いただき、自社の案件に合うかどうかの判断材料にしてください。
よくあるご質問
ホームページ制作会社に業務システムを頼むのは避けたほうがよいですか?
一概には言えません。システム開発の体制を持つ制作会社もあります。ただ、ホームページ制作を主な業務としている会社の場合、データベースや権限、業務の流れを扱う開発の経験が十分でないこともあります。過去に業務システムやWebアプリを開発した経験があるか、具体的に確認するとよいでしょう。
フリーランスに依頼するときの注意点は何ですか?
スキルの高いフリーランスも多く、柔軟でスピードのある対応が期待できます。一方、1人で対応する場合は、病気や他の案件との兼ね合いで対応が止まるリスクがあります。公開後の保守を誰が担うか、ソースコードやアカウントを他の人に引き継げる状態にしておくかを、事前に決めておくことが大切です。
複数の依頼先に見積もりを取るべきですか?
比較のために複数の見積もりを取ることは有効です。その際は、同じ要件メモを渡して見積もりを依頼すると、前提がそろって比較しやすくなります。金額だけでなく、範囲・修正対応・保守・成果物の扱いなど、見積もりに含まれる内容をあわせて比べてください。