業務効率化に向いているWebアプリとは?手作業を減らせる業務の見つけ方

「業務を効率化したい」という思いはあっても、どの作業をどう変えればよいかまでは決まっていない――システム化の検討は、多くの場合この段階から始まります。どの業務をWebアプリにすれば効果が出やすいのか、反対にシステム化に向かないのはどんな業務なのか。業種別の例を交えながら、対象となる業務の見つけ方と、優先順位のつけ方を整理します。

Webアプリで効果が出やすい5つの作業

作業よくある場面Webアプリでの変化
転記メールや紙の内容をExcelに書き写す、同じ内容を複数のファイルに入力する一度の入力で、必要な場所に反映される
集計月末に複数のファイルから数字を集めて合計する入力されたデータから、その場で集計される
確認待ち承認や確認のために、書類やメールが止まる確認が必要なものが一覧になり、通知される
探す作業過去の記録やファイルの最新版を探す検索と絞り込みで、すぐに見つかる
状況の問い合わせ「あの件どうなった?」と担当者に聞く状況を誰でも画面で確認できる

どれも、業務そのものではなく、業務と業務の「つなぎ」の部分で発生している手間です。Webアプリは、こうした「つなぎ」の手作業を減らすことを得意としています。

業種別に見る、効率化の対象になりやすい場面

考え方をつかむための例です(特定の企業の事例ではありません)。自社の業務に近いものがあれば、対象を探す手がかりにしてください。

業種の例手間が集中しやすい場面Webアプリにした場合の形
卸売・商社FAXやメールの注文を、受注表と在庫表に転記している注文を一度登録すれば、在庫の引当と出荷指示につながる
不動産管理入居者からの問い合わせや修繕依頼の対応状況が、担当者ごとのメモにある依頼を一覧で管理し、物件ごとの対応履歴を残す
士業事務所顧客から必要書類を回収する状況を、Excelとメールで追っている顧客ごとの提出状況を一覧にし、未提出の顧客に連絡する
製造業現場の作業日報を紙で集め、月末に工程ごとの時間を集計している日報をスマートフォンで入力し、工程・案件ごとに自動で集計する
教室・スクール申込、出欠、月謝の確認を、別々の表で管理している生徒ごとに申込・出欠・支払いの状況をまとめて確認する

業種は違っても、手間の中身は「転記」「集計」「状況の確認」に集約されることが多いのが分かります。関連する業務別の考え方は、在庫管理をWebアプリ化するには?、日報・作業報告をWebアプリ化するには?、顧客向けマイページ・ポータルを作るには?などで詳しく解説しています。

効果が大きくなる業務の特徴

  • 回数が多い:毎日、または毎週のように繰り返し発生する
  • 関わる人が多い:複数の担当者や部署の間で情報が受け渡される
  • ルールが決まっている:手順や判断の基準が、ある程度決まっている
  • ミスの影響が大きい:転記ミスが請求や顧客対応のトラブルにつながる
  • 特定の人に依存している:その人がいないと進まない作業がある

急いでシステム化しないほうがよい業務

  • 判断が毎回異なる業務:個別の事情に応じた判断が中心で、手順が決まっていない
  • 頻度が極端に低い業務:年に一度など、仕組みを作る手間に見合わない
  • 流れがまだ固まっていない業務:始めたばかりで、運用が頻繁に変わっている
  • ルールが人によって違う業務:まず社内でルールを揃えることが先になる

最後の点は特に重要です。ルールが曖昧なままシステム化すると、曖昧さがそのまま仕組みに残ります。運用のルールを揃えるだけで効率化できることもあります。

候補に点数をつけて、最初の対象を選ぶ

対象の候補が複数見つかったら、次のような簡単な点数表で比べると、最初に取り組む業務を選びやすくなります。各項目を3段階(1〜3点)でつけ、合計の高いものから検討します。

評価の観点1点3点
回数月に数回毎日
関わる人数1人複数の部署や社外の人
ルールの明確さ人によって違う手順が決まっている
ミスの影響すぐに直せる請求や顧客対応に影響する

点数は厳密である必要はなく、関係者で同じ基準で話し合うための道具です。点数が高くてもルールが曖昧な業務は、先に運用を整理してから取り組むほうが確実です。回数と時間から効果を見積もる方法はWebアプリ化の費用対効果はどう考える?で紹介しています。

Webアプリ以外の方法とも比べる

方法向いている課題
運用ルールの見直し人によってやり方が違う、確認の手順が決まっていない
ExcelやGoogleスプレッドシートの改善利用者が少なく、入力ミスの防止や集計の自動化で足りる
既製のSaaS・ノーコードツール業務が一般的な型に近い
業務用Webアプリの開発独自の業務の流れがあり、複数の人や業務をつなぐ必要がある

開発を前提にせず、課題に合った方法を選ぶことが、結果として効率化の近道になります。既製ツールで足りるかの判断は自社専用システムは本当に必要?で詳しく解説しています。

効果を確かめる準備をしておく

  • 対象の作業の回数と、1回あたりのおおよその時間を、システム化の前に記録しておく
  • ミスや手戻りが起きた回数も、分かる範囲で記録しておく
  • システム化の後、同じ方法で一定期間記録し、比べる
  • 数字に表れにくい変化(問い合わせが減った、確認の会議が短くなったなど)も書き留めておく

相談の前に用意しておくと話が早いもの

  • 手間がかかっていると感じる作業の一覧(上の点数表をつけたものがあれば理想的)
  • その作業に関わる人と、使っている道具(Excel、紙、メールなど)
  • 今の業務の流れを箇条書きにしたメモ(書き方はシステム化の前に業務フローを整理する方法)
  • Excelや帳票の見本(個人情報を伏せたもの)

どの業務から始めるかを、一緒に決めます

効率化したい気持ちはあっても、どの業務から手をつけるかが決まっていない段階でもご相談いただけます。上の点数表のように候補を並べながら、Webアプリにすると効果が出やすい範囲と、運用の見直しや既製ツールで済む部分を分けて整理します。開発が最適でない場合は、無理におすすめせず、その旨をお伝えします。

よくあるご質問

業務効率化のために、まず何から始めればよいですか?

システムを考える前に、今の業務の流れを書き出し、手間がかかっている作業に印をつけるところから始めるのがおすすめです。対象が見えてから、運用の改善で済むか、既製ツールで足りるか、Webアプリが必要かを判断できます。

小さな会社でも、Webアプリで効率化する意味はありますか?

規模よりも、繰り返し発生している手作業があるかどうかが重要です。少人数でも、毎日同じ転記や集計に時間を取られているなら、効果が出る可能性があります。逆に、手作業がほとんどない業務を無理にシステム化する必要はありません。

AIを使った自動化も検討したほうがよいですか?

文章の分類や要約、帳票の読み取りなど、AIが役立つ場面もあります。ただし、まずは業務の流れとデータの持ち方が整理されていることが前提です。整理ができてから、AIを組み込む価値がある部分を検討するのが現実的です。

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