業務システムとWebアプリの違いとは?中小企業に向いている作り方

開発会社のWebサイトや資料には、「業務システム」「Webシステム」「Webアプリ」「社内ツール」と似た言葉が並んでいます。発注する側からすると、自社が作りたいものをどの言葉で頼めばよいのか、そもそも何が違うのかが分かりにくいものです。言葉の違いを整理したうえで、中小企業の業務ではどの作り方が合いやすいのかを、場面別の例で考えます。

言葉の違いを整理する

言葉一般的に指すもの
業務システム受発注、在庫、顧客、会計など、業務を支える仕組み全般。作り方は問わない
WebシステムインターネットやWebの技術を使って動く仕組み。Webサイトの裏側の仕組みを含むこともある
Webアプリブラウザから使う形のソフトウェア。データを登録・検索・更新して、何かの作業をするもの
社内ツール社内の業務のために作る、比較的小さな仕組み。Webアプリとして作られることが多い

言葉の使い方は会社や人によって少しずつ異なり、厳密な定義があるわけではありません。大まかには、「業務システム」は目的(業務を支える)を表す言葉、「Webアプリ」は形(ブラウザで使う)を表す言葉と考えると整理しやすくなります。つまり「Webアプリとして作った業務システム」もあれば、「パソコンに入れて使う業務システム」もあります。

業務システムの4つの作り方

作り方特徴向いている場面
Webアプリブラウザで使う。インストール不要で、場所や端末を選びにくい複数人・複数拠点で使う、外出先や社外の人も使う
パソコンに入れて使うソフト特定のパソコンで動く。通信が不要な処理に強い特定の機器とつなぐ、決まった端末だけで使う
スマートフォンのアプリアプリストアから入れる。端末の機能を細かく使える一般の消費者向けのサービス、端末の機能を深く使う
既製のSaaS契約してすぐ使える。業務をツールに合わせる業務が一般的な型に近い

場面別に考える:どの作り方が合うか

考え方をつかむための例を3つ挙げます(特定の企業の事例ではありません)。

例1:設備工事会社の作業報告

現場の作業員が、作業内容と写真をその日のうちに報告し、事務所で確認したい。作業員は日によって現場が変わり、使う端末は各自のスマートフォン。元請けの担当者にも、一部の報告を見せたい。

この場合は、Webアプリが合いやすい形です。インストールの手間がなく、どの現場からでも同じ仕組みを使え、元請けには権限を分けて必要な報告だけを見せられます。現場での入力の考え方は現場の点検記録・作業報告をスマホで入力できるWebアプリを作るにはで解説しています。

例2:工場の検査機器のデータ記録

工場内の検査機器から測定値を取り込み、検査記録として保存したい。使うのは工場内の決まったパソコンだけで、機器とはケーブルでつながっている。

この場合は、機器と直接やり取りする部分については、パソコンに入れて使うソフトのほうが合うことがあります。ただし、記録したデータを事務所や他の拠点で確認したいなら、確認する部分だけをWebアプリにする組み合わせも考えられます。

例3:美容室の予約受付

Webで予約を受け付け、スタッフごとの空き状況を管理したい。業務の流れは一般的な予約の形に近く、特別な料金計算もない。

この場合は、まず既製のSaaS(予約サービス)を検討するのが合理的です。業務の中心がサービスの想定に近ければ、作る必要はありません。判断の基準は予約システムは既製サービスと独自開発のどちらを選ぶ?で整理しています。

判断の観点:誰が、どこで、何に使うか

言葉の違いにこだわるより、次の観点で考えるほうが、自社に合う作り方を選びやすくなります。

観点Webアプリが合いやすい別の作り方を検討したい
使う人複数の部署、取引先、顧客決まった一人か、ごく少人数
使う場所事務所、現場、外出先、在宅通信できない場所が中心
つなぐもの他の業務データ、外部サービス特定の機器、社内の閉じた設備
業務の型自社独自の流れがある一般的な型に近い(SaaSで足りる)

中小企業でWebアプリの形が選ばれやすい理由

  • インストールが不要:パソコンの入れ替えや、新しい社員への配布の手間がかからない
  • 場所を選ばない:事務所、現場、外出先、在宅から同じ仕組みを使える
  • パソコンとスマートフォンの両方で使える:画面の作り方次第で、一つの仕組みで両方に対応できる
  • 更新が一か所で済む:修正はサーバー側で行うため、利用者の端末ごとに更新する必要がない
  • 社外の人とも共有しやすい:取引先や顧客にも、権限を分けて使ってもらえる

一方で、通信環境が必要なこと、インターネット上で動く以上はセキュリティへの配慮が欠かせないことは、Webアプリの前提として理解しておきましょう。確認事項は小規模な社内Webアプリのセキュリティにまとめています。

「ホームページ制作」との違い

ホームページ(Webサイト)業務用Webアプリ
主な目的会社やサービスの情報を伝える、集客する業務を進める、データを管理する
主な利用者不特定の訪問者社内の担当者、取引先、会員など
中心となる作業デザイン、文章、写真、検索での見つかりやすさデータの登録・検索・更新、権限、業務の流れ
ログイン不要なことが多い必要なことが多い

ホームページ制作を主な業務とする会社でも、Webアプリの開発に対応しているところはあります。依頼先の種類ごとの違いは小規模な業務システム開発はどこに依頼すべき?で比較しています。

既存の仕組みとの役割分担

すでに会計ソフトや販売管理など、何らかの業務システムを使っている場合は、新しく作るWebアプリとの役割分担も考えておく必要があります。既存の仕組みに任せる業務、新しいWebアプリで行う業務、二つの間でやり取りするデータを整理しておくと、二重入力を避けられます。既存の仕組みがデータの書き出しや取り込みに対応しているかも、早めに確認しておきましょう。既製ツールとの組み合わせ方は自社専用システムは本当に必要?で解説しています。

相談の前に整理しておきたいこと

  • どの業務の、どの作業を楽にしたいのか
  • 誰が、どこで、どの端末で使うのか(社外の人を含むか)
  • 今はどの道具(Excel、紙、メール、既製ツール)で行っているのか
  • つなげる必要がある機器や、既存の仕組み
  • 通信が使えない場所で使う必要があるか

この5点が分かれば、言葉の選び方に迷っていても、作りたいものは十分に伝わります。まとめ方はWebアプリ開発を依頼する前に準備するもので紹介しています。

言葉より、使う場面から相談を

「業務システム」と「Webアプリ」のどちらを頼めばよいか迷っている段階でも、相談の進め方は変わりません。Tailboneは、業務用Webアプリ・社内ツール・小規模Webシステム・MVPの開発に絞って対応しています。上の例のように、誰が、どこで、どの業務に使うかを伺い、Webアプリの形が合うか、既製のツールや別の作り方のほうが合うかを含めて一緒に考えます。

よくあるご質問

Webアプリはインターネットにつながらないと使えませんか?

一般的なWebアプリは、サーバーと通信しながら動くため、通信環境が必要です。電波の弱い場所で使う必要がある場合は、入力内容を端末に一時保存して後で送信する仕組みなどを検討します。通信がまったく使えない場所が中心なら、別の作り方が合うこともあります。

社内のネットワークの中だけで使うWebアプリは作れますか?

作れます。社内のネットワークや特定の場所からのアクセスに限定する方法もあります。ただし、外出先や在宅勤務で使えなくなるため、使う場所と安全性のバランスで判断します。

スマートフォンのアプリとWebアプリはどう違いますか?

スマートフォンのアプリは、アプリストアからインストールして使います。端末の機能を細かく使える一方、ストアの審査や端末ごとの対応が必要です。Webアプリはブラウザで使えるため、インストール不要で、パソコンとスマートフォンの両方から使える形にしやすいのが特徴です。社内向けの業務ではWebアプリで十分なことが多くあります。

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